水性二相抽出を用いる環境水中の微量亜鉛の簡易吸光光度定量

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タイトル別名
  • Simple Spectrophotometric Determination of Trace Amounts of Zinc in Environmental Water Samples Using Aqueous Biphasic Extraction
  • 年間特集「水」 水性二相抽出を用いる環境水中の微量亜鉛の簡易吸光光度定量
  • ネンカン トクシュウ ミズ スイセイ ニソウ チュウシュツ オ モチイル カンキョウ スイチュウ ノ ビリョウ アエン ノ カンイ キュウコウ コウド テイリョウ

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抄録

ポリエチレングリコール,硫酸ナトリウム及び水とで構成される水性二相抽出系による液液抽出を吸光光度法の前処理法として組み込み,環境水中の微量亜鉛(II)の高感度かつ高選択的簡易吸光光度分析法を開発した.抽出剤としてチオシアン酸イオン,発色剤として2-(5-ブロモ-2-ピリジルアゾ)-5-[N-n-プロピル-N-(3-スルホプロピル)アミノ]-フェノール(5-Br-PAPS)を用い,妨害となる金属イオンを抽出段階において除去又は発色段階で適切なマスキング剤によりマスクすることによって,亜鉛(II)について高い選択性を得ることができた.水性二相抽出で亜鉛(II)を10倍濃縮するように設計した条件下で,0~200 μg L−1の濃度範囲で直線性の良好な検量線を得ることができ,定量限界は空試験値の標準偏差の10倍で表したとき1.6 μg L−1であった.水性二相抽出の弱点である,相分離に時間を要するという問題点は,加温による対流現象を利用して克服し,抽出から吸光度測定までの操作に要する時間を15分以下に短縮した.本法を河川水中の亜鉛の定量に応用したところ,ICP-AESにより得られた値とよく一致する結果を得た.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 59 (10), 847-854, 2010

    公益社団法人 日本分析化学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (36)*注記

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