ルミノールの化学発光反応におけるコバルト(III)錯体の触媒作用

  • 河田 裕介
    神戸大学大学院人間発達環境学研究科人間環境学専攻
  • 児玉谷 仁
    鹿児島大学大学院理工学研究科地球環境科学専攻
  • 山崎 重雄
    岡山理科大学理学部基礎理学科
  • 齊藤 惠逸
    神戸大学大学院人間発達環境学研究科人間環境学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • The Catalysis of Cobalt(III) Complexes in the Chemiluminescent Reaction of Luminol
  • ルミノールの化学発光反応におけるコバルト(3)錯体の触媒作用
  • ルミノール ノ カガク ハッコウ ハンノウ ニ オケル コバルト 3 サクタイ ノ ショクバイ サヨウ

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説明

ルミノールは塩基性条件下,遷移金属イオンなどの触媒存在下で過酸化水素と反応し,6員環ペルオキシド中間体を経て2価のアミノフタル酸陰イオンの励起状態を生じ,これが基底状態となる際に発光すると考えられている.本研究では28種類のCo(III)錯体を合成し,ルミノールが過酸化水素と反応し化学発光する際の触媒作用について検討した.Co(III)錯体の構造に基づき五つのグループに分けて検討を行った.触媒作用の評価には,フローインジェクション分析法(FIA)を用いた.配位子の違いにより発光量に極めて大きな差異が認められた.検討した錯体の中で[Co(NO2)(NH3)5]Cl2及び[Co(CO3)(NH3)4]Clが顕著な触媒作用を示した.これら2種類のCo(III)錯体を用いて,FIAによる過酸化水素定量への応用を試みた.最適な検出条件を検討し,検出限界(S/N=3)について調べた結果,[Co(NO2)(NH3)5]Cl2では0.2 nM(2 fmol),[Co(CO3)(NH3)4]Clでは5 nM(50 fmol)と高感度な値が得られた.検量線は,いずれのCo(III)錯体とも10 μMまで良好な直線性(r>0.99)を示した.共存イオンの影響について検討し,実試料への適用を試みたところ河川水中の過酸化水素の測定が可能であった.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 59 (8), 665-671, 2010

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (33)*注記

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