多房性胸腺嚢胞術後に残存病変を10年間経過観察している1例

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タイトル別名
  • Long-term follow-up of left lesion of multilocular thymic cyst after partial resection

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説明

多房性胸腺嚢胞(MTC)は1991年にSusterらが疾患概念を提唱した比較的稀な疾患である.MTC術後に残存させた嚢胞病変のその後の10年の経過を報告する.症例は55歳男性.頸部腫脹を自覚し近医を受診した.胸部CT及びMRIで,甲状腺下極から前縦隔右側に長径80×60×40 mm大の多房性の嚢胞性腫瘤を認め,当科紹介となった.CTガイド下生検では確定診断が得られず,悪性疾患が否定できないため手術を行った.胸骨縦切開にて胸腺右葉切除術を行った.術中迅速組織診断では悪性所見はなく,胸腺左葉や頸部に病変が残存したまま終了とした.病理組織診断はMTCであった.術後1年ごとに現在まで10年間のCTによる経過観察を行っているが,残存病変は大きさ,性状ともにほぼ不変である.しかしながら,近年,MTCと胸腺腫,胸腺癌の合併頻度が高いことが報告されつつあり,今後更なる経過観察が必要であると思われた.

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参考文献 (16)*注記

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