術中異常高血圧を呈した後縦隔傍神経節腫の1切除例

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  • Surgical resection of a posterior mediastinal paraganglioma with intraoperative hypertension: A case report

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抄録

後縦隔発生の傍神経節腫は稀な疾患である.我々は手術中に異常高血圧を呈し,予想外の出血を来したが摘出し得た,後縦隔発生の傍神経節腫(Paraganglioma)の一例を経験したので報告する.症例は60歳男性.検診の胸部X線写真で異常陰影を指摘され当科紹介受診となった.胸部CTと胸部MRIで後縦隔に腫瘤影を認めたため,神経原性腫瘍の術前診断で胸腔鏡下手術を行った.腫瘍の操作を開始した直後に収縮期血圧が220 mmHg以上まで上昇し,出血量が200 mlに達したため開胸へ移行した.腫瘍から還流する静脈を結紮切離することで,速やかに血圧は安定した.術後病理組織検査では傍神経節腫の診断であった.後縦隔発生の傍神経節腫は稀であり,本邦でこれまで28例の報告があるのみである.同疾患は,術中の異常高血圧,予想外の出血を呈する疾患であり,術前診断は困難なことが多く,術中判明した場合は速やかな麻酔科による対応と迅速な摘出が重要であると思われた.

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