壊死性降下性縦隔炎との鑑別が困難であった膵仮性囊胞頚部進展の一例

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  • Pancreatic pseudocyst extending up to the neck: A case report

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抄録

<p>膵仮性囊胞が胸部から頚部まで進展し,その診断・治療に難渋した症例を報告する.56歳男性,慢性膵炎の急性増悪を契機に入院.腹腔内に膵仮性囊胞を形成し,膵囊胞ドレナージが施行された.入院経過中,嗄声の出現,頚部腫脹あり.壊死性降下性縦隔炎と診断され,当院へ紹介となった.膿瘍ドレナージを考慮するも,頚部の腫脹が軽快し嗄声が消失,CTにて後咽頭の液貯留が縮小した.食道周囲の後縦隔膿瘍とし,ドレナージのみ行う方針とした.膵炎は落ち着いていたが,膵から横隔膜を経由し縦隔へ伸びる索状物を認め,縦隔内容液に膵液瘻の関与も考慮,右開胸とした.術後胸水中のamylaseが異常高値を示し,膵液瘻からの膵性胸水と判断した.根本的な膵の加療が必要と考え,膵液の内瘻化を行い,軽快した.膵仮性囊胞縦隔進展の報告は散見されるが,頚部にまで進展したケースは海外の文献にて数例みられる程度である.稀な病態と考え,報告する.</p>

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