アルギニンに富む塩基性ペプチドの細胞内への取り込みと膜結合型プロテオグリカンの寄与

  • Nakase Ikuhiko
    Nanoscience and Nanotechnology Research Center, Research Organization for the 21st Century, Osaka Prefecture University
  • Kawaguchi Yoshimasa
    Institute for Chemical Research, Kyoto University
  • Nomizu Motoyoshi
    School of Pharmacy, Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences
  • Futaki Shiroh
    Institute for Chemical Research, Kyoto University

書誌事項

タイトル別名
  • Cellular Uptake of Arginine-Rich Cell-Penetrating Peptides and the Contribution of Membrane-Associated Proteoglycans

この論文をさがす

抄録

細胞透過ペプチド(cell-penetrating peptides, CPPs)を用いた細胞内送達は、投与方法の簡便さと医療への応用の可能性から、大きな関心を集めている。ペプチド・タンパク質、核酸、リポソーム、ナノ粒子などの種々の生理活性分子を細胞透過ペプチドと化学的に架橋するか、あるいは安定な複合体を形成させ、これらの架橋体や複合体を単に培養液に添加することにより、効率よく細胞内に導入されたことが報告されている。異なる物性を持つ種々の膜透過ペプチドが報告されているものの、アルギニンを多く含む細胞透過ペプチドは最も汎用されるものの一つである。ヘパラン硫酸プロテオグリカンなどの膜結合型プロテオグリカンは、アルギニンが帯びる正電荷とグリコサミノグリカンの持つ負電荷の間の静電的相互作用により細胞表面に濃縮することで、アルギニンに富む細胞透過ペプチドとそれにより細胞内に導入される積み荷分子の細胞内への取り込みを容易にしている。アルギニンを多く含む細胞透過ペプチドと膜結合型プロテオグリカンとの相互作用はマクロピノサイトーシスと呼ばれる液相エンドサイトーシスを誘起することによっても、アルギニンに富む細胞透過ペプチドと積み荷分子の細胞内への取り込みを促進する。

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (37)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ