書誌事項
- タイトル別名
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- Ultrasound diagnosis of traumatic pneumothorax: evolution from FAST to EFAST
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説明
外傷性気胸は,防ぎえた外傷死(preventable trauma death)の一因である緊張性気胸へ進展することがあり,速やかに診断すべき病態である。初期診療では外傷性気胸の評価のために胸部X線が行われるが,頚椎損傷やバイタルサインに影響を及ぼす損傷の可能性が少しでもあれば臥位で撮像される。しかし,外傷性気胸の約半数は臥位のX線では検出できないとされ,occult pneumothoraxと呼ばれる。一方,超音波検査を用いた気胸の評価は比較的新しい手法であり,正常では壁側胸膜と臓側胸膜の接する部位,気胸では壁側胸膜と胸腔の空気の境界部に相当するpleural lineと,その深部に形成されるアーチファクトの性状をもとに行われる。近年外傷初期診療における気胸の超音波診断の有用性を検討した前向き臨床研究が次々に報告された。感度は46.5-100%と幅があるものの,いずれの研究においても臥位のX線より超音波検査の方が優れていることが示され,occult pneumothoraxや臨床的に重要な気胸の検出に有用であることが明らかになった。また超音波検査の陰性的中率はいずれの研究も90%以上であり,外傷性気胸の除外診断にも有用であることが示された。外傷初期診療に気胸の超音波診断を加えることが,患者の予後改善を含めた外傷診療の向上につながるか,さらに検討は必要だが,今後は外傷初期診療における超音波検査がFAST(Focused Assessment with Sonography for Trauma)からEFAST(Extended FAST)へ発展していくと考えられる。
収録刊行物
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- 日本救急医学会雑誌
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日本救急医学会雑誌 23 (4), 131-141, 2012
一般社団法人 日本救急医学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679345441280
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- NII論文ID
- 130004542327
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- ISSN
- 18833772
- 0915924X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可