黄体におけるガレクチンの発現プロファイルと予想される役割

  • 小林 純子
    北海道大学大学院医学研究科組織細胞学分野
  • 羽柴 一久
    岡山大学大学院環境生命科学研究科動物機能開発学講座生殖生理学研究室
  • 佐野 栄宏
    岡山大学大学院環境生命科学研究科動物機能開発学講座生殖生理学研究室
  • 奥田 潔
    岡山大学大学院環境生命科学研究科動物機能開発学講座生殖生理学研究室
  • Duncan W. Colin
    MRC Centre for Reproductive Health, The Queenʼs Medical Research Institute, The University of Edinburgh
  • 岩永 敏彦
    北海道大学大学院医学研究科組織細胞学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Expression Profiles and Possible Roles of Galectins in the Corpus Luteum
  • オウタイ ニ オケル ガレクチン ノ ハツゲン プロファイル ト ヨソウ サレル ヤクワリ

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抄録

ガレクチンはβ-galactosideを認識するレクチンで、さまざまな生理学的、病理学的現象に関与する。黄体は正常な妊娠に必須なプロゲステロンを産生する一時的な内分泌組織で、ステージ特異的にgalectin-1とgalectin-3を発現する。このミニレビューでは、マウス、ウシ、およびヒトの黄体におけるガレクチンの発現プロファイル、発現調節機構、そして考えられる機能についてこれまでの研究結果をまとめている。マウスの退行期黄体はgalectin-1とgalectin-3を発現し、両ガレクチンはマウス黄体の退行に関与すると考えられる。一方、ウシとヒトの機能黄体はgalectin-1を豊富に発現していた。そして、galectin-3はこれらの動物においてもマウスと同様に退行期の黄体にのみ発現していた。黄体細胞におけるガレクチンの発現は、プロラクチン、黄体形成ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、プロスタグランジンEおよびFなどの既知の内分泌および局所因子により調節をうけた。興味深いことに、ST6GAL1により転移されgalectin-1と糖鎖との結合を阻害するα2,6シアル酸が、すべての動物の退行期黄体で増加していた。これらの研究結果は、黄体機能とともに発現する糖鎖とガレクチンサブタイプが変化する“ガレクチンスイッチ”が黄体機能の制御において動物種を越えて共通したメカニズムであることを示唆する。

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参考文献 (26)*注記

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