遺伝子解析により確定診断し大量マグネシウム投与を行った重症破傷風の1例

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  • A case of severe tetanus definitely diagnosed through a gene analysis and treated with high-dosage magnesium therapy

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抄録

症例は80歳の男性で,左母趾の爪剥離部より感染し,受傷後7日目に当院に入院となった。全身の筋強直と痙攣を認めたため人工呼吸管理を開始したが,midazolamおよびdiazepamでは筋強直と痙攣の抑制は困難であった。入院第6病日より自律神経機能障害の所見が顕著となり,一日の収縮期血圧の変動は170mmHgに達した。propofol(80-160mg/hr)とmagnesium(1g/hr)の併用療法を開始したところ,筋強直・痙攣および血圧変動の抑制に効果的であった。目標血中magnesium濃度5.0-6.0mg/dlにおいては,magnesium単独ではそれらの抑制は困難であり,高magnesium血症に伴う副作用の危険性を考慮すると両者の併用が第一選択と判断した。創部からの嫌気性培養の結果,芽胞を有しバチ状の形態を呈するClostridium様桿菌が同定された。同菌の16SリボゾームRNA解析を行い遺伝子学的に破傷風菌と確定診断し得た。大量magnesium投与は副作用のリスクを伴う治療であるため,血中magnesium濃度に十分注意するとともに破傷風の確定診断が重要である。一般的に破傷風菌の同定は困難であるとされているが,今後確定診断のための遺伝子学的検査の発展が期待される。

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