書誌事項
- タイトル別名
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- Usefulness and instructiveness of the disaster training for START method using the PDCA cycle
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説明
【はじめに】多数傷病者発生事案対応のトリアージ訓練方法としてPDCA cycleの手法を用いたSTART法訓練を考案し,その有用性の検証を行った。【対象】全7回の災害医療研修に参加した282名の受講者(看護師136名,救急隊124名,医師22名)を対象とした。【方法】最初にSTART法のアルゴリズムを復習した。各受講者に傷病者カードを配布し,カード記載の傷病状態を演技させた。全5チームに分け,うち1チームを救援者,残り4チームを傷病者とし,役割を交代して合計5回の訓練を施行した。1回の訓練は,活動方針計画1分間,実施2分間,結果評価2分間の計5分間とした。結果判定は各受講者が行い,(1)タグの正しい装着,(2)正しいカテゴリー,(3)区分記載ありの3点全てが揃った場合を正解とした。不正解の場合,間違われた受講者のみが不正解に至った問題点を全員に対し指摘した。指導者はアルゴリズム上の問題点のみを全員に対し確認した。制限時間内にトリアージを正しく完了するため,各救援者チーム自らが活動方針を計画し実行した。実施毎にトリアージ実施数および未実施数を比較し,未実施数減少後は,未実施中の赤タグ傷病者数の比較を追加評価した。次チームは改善を要する点を指導者と協議し,自らが活動方針と方法を改善し実行した。【結果】トリアージ実施率(%;実施数/全傷者数;中央値(範囲))は,1回目40.0%(30.5-50.0),2回目65.0%(62.1-78.5),3回目83.3%(48.8-96.6),4回目84.5%(86.8-96.4),5回目89.3%(69.9-100.0)と上昇し,正解率(%; 正解数/全傷者数)も1回目25.4%(6.9-37.5),2回目51.7%(43.8-57.1),3回目62.7%(41.9-89.7),4回目75.0%(54.7-81.8),5回目78.1%(46.0-93.8)と上昇した。各々の率は1回目と2回目および3回目の間に統計学的有意差を認めた。MCI対応に必要な方策は,(1)正解率上昇,(2)未実施数減少,(3)赤患者優先,(4)患者情報集約の4つが導かれた。【結語】PDCA cycleの手法を用いたSTART法訓練は,少人数で制限時間内に多数傷病者をトリアージする方策を習得でき,反復訓練による実施率と正解率の向上を得られると考える。
収録刊行物
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- 日本救急医学会雑誌
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日本救急医学会雑誌 23 (7), 295-303, 2012
一般社団法人 日本救急医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679346652544
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- NII論文ID
- 130004840935
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- ISSN
- 18833772
- 0915924X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可