心肺蘇生時の胸骨圧迫による胸骨骨折断端にて右冠動脈損傷を来した一救命例

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タイトル別名
  • Survival of right coronary artery laceration caused by a sternal bone fragment following chest compression: a case report

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心肺蘇生時の胸骨圧迫による胸骨骨折断端が原因の心損傷症例は稀で,剖検症例報告として散見されるのみである。我々は,本機序による右冠状動脈裂傷例を救命したので報告する。症例は59歳の男性で胸痛を主訴に来院した。心電図所見上,前壁領域にST上昇を認め,冠状動脈左前下行枝に経皮的冠動脈インターベンションを行った。カテーテル室で心室細動後に心停止となり,胸骨圧迫による心肺蘇生処置ならびに経皮的心肺補助装置を導入した。冠状動脈造影を再度行い,右冠状動脈の背側への偏位を認め,心エコーにて多量の心嚢液貯留を認めた。心嚢内血腫による心タンポナーデを疑い,心嚢穿刺ならびに緊急手術を施行した。術中所見にて,胸骨骨折断片によるRCA裂傷を認め,裂傷部縫合閉鎖ならびにRCAとLADに大伏在静脈を用いてバイパス手術を行った。術後2日目にPCPSを離脱し,術後17日目に合併症や神経学的後遺症なく軽快退院した。胸骨圧迫による右冠状動脈裂傷を来した心タンポナーデ症例を適確な診断と迅速な処置で救命した。

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