劇症肝不全を合併した熱中症III度症候群の一救命例

  • 米満 弘一郎
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター救命救急センター 熊本大学医学部附属病院高次救急集中治療部
  • 白 鴻成
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター救命救急センター
  • 前野 良人
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター救命救急センター
  • 大西 光雄
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター救命救急センター
  • 西野 正人
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター救命救急センター
  • 木下 順弘
    熊本大学医学部附属病院高次救急集中治療部
  • 定光 大海
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター救命救急センター

書誌事項

タイトル別名
  • Successful conservative management of fulminant hepatic failure following exertional heatstroke

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説明

発症第 3 病日に劇症肝不全を合併したが,保存的加療にて軽快した熱中症III度症候群を経験した。症例は39歳の男性。マラソン中に意識消失した。Japan coma scale(JCS)200,腋窩温40.9°C,ショック状態だった。前医入院後,意識・全身状態は改善したが,第 3 病日に肝酵素,CPKの著明な上昇及びDICを認め当院転院となった。第 4 病日に肝性昏睡II度,PT活性20%,HPT 20%,AKBR 0.69,AST 3,330 IU/l,ALT 5,880 IU/l,NH3 155μg/dlとなり劇症肝不全と診断し,血漿交換及び持続血液濾過透析を行った。肝障害は速やかに改善し第33病日,独歩転院となった。熱中症III度症候群に合併する重症肝障害は,ショック,DICを契機に第 3 病日前後に顕在化すると考えられる。適時的な血液浄化などで保存的に軽快する例が多いが,早期より肝障害を想定した慎重な輸液管理,集中管理が重要である。

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参考文献 (18)*注記

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