マムシ咬傷により急性腎不全および呼吸不全を呈したが救命しえた1例

  • 中村 賢二
    国東市民病院外科 九州大学大学院臨床・腫瘍外科
  • 井手野 昇
    国東市民病院外科 九州大学大学院臨床・腫瘍外科
  • 村上 光彦
    国東市民病院外科 九州大学大学院臨床・腫瘍外科
  • 小川 芳明
    国東市民病院外科 九州大学大学院臨床・腫瘍外科
  • 籾井 眞二
    九州大学大学院臨床・腫瘍外科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of acute renal and respiratory failure due to mamushi bite

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抄録

マムシは日本の毒蛇で,毎年約1,000例の咬傷被害があり,そのうち約10例が死亡しているといわれている。我々は,マムシ咬傷により急性腎不全および呼吸不全を呈したが救命し得た1例を経験した。症例は72歳,男性。左手掌をマムシに咬まれ近医受診。補液とセファランチン投与を受けたが,12時間後,左上肢の腫脹が左肩まで増強しミオグロビン尿が出現したため,当院紹介となった。マムシ抗毒素血清使用の既往があったが,適応と考え投与。第2病日目より急性腎不全に陥って尿量が著明に減少し,血液透析を開始。第3病日目には急性呼吸不全のため気管挿管して人工呼吸管理を開始し,持続血液濾過透析を継続した。尿量は第18病日より徐々に増量し,呼吸状態も改善して第19病日目に抜管。透析は第22病日目に離脱した。マムシ咬傷による死亡原因は急性腎不全によるものが多いが,最近の知見によりマムシ毒自体が直接肺障害を起こすこともわかってきた。マムシ咬傷は大半が軽症例であるが,重症化した場合は腎障害だけでなく呼吸状態にも配慮して全身的な管理が必要と考えられた。

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参考文献 (24)*注記

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