下肢深部静脈の解剖学的特徴からみた静脈血栓塞栓症の病態

  • 呂 彩子
    聖マリアンナ医科大学法医学教室 東京都監察医務院
  • 景山 則正
    聖マリアンナ医科大学法医学教室 東京都監察医務院
  • 向井 敏二
    聖マリアンナ医科大学法医学教室 東京都監察医務院

書誌事項

タイトル別名
  • Pathophysiology of Venous Thromboembolism with Respect to the Anatomical Features of the Deep Veins of Lower Limbs: A Review

抄録

<p>下肢深部静脈血栓症の病態につき,解剖学的特徴の観点から概説する.大腿部静脈は下腿静脈より血栓が形成されにくいが,閉塞による臨床症状が出現しやすい.下腿静脈は静脈還流を伴走動脈の拍動に頼る下腿三静脈より,筋ポンプ作用と静脈弁に還流を依存する筋肉内静脈のほうが臥床状態で血栓ができやすい.静脈および筋肉の構造から腓腹筋静脈よりヒラメ筋静脈で血栓ができやすい.ヒラメ筋静脈血栓は還流経路に沿って中枢側に成長する.入院患者などの下肢の不動状態によって生じる肺血栓塞栓症による突然死の予防には,ヒラメ筋静脈血栓形成予防および還流経路における中枢側進展の観察が臨床的に重要である.下肢深部静脈血栓が生じた場合,塞栓化の防止とともに血栓の器質化による静脈弁機能障害に基づく静脈血栓後遺症を避けることが必要である.(AVD2017; 10(2): 99–106の日本語訳)</p>

収録刊行物

  • 静脈学

    静脈学 28 (3), 309-316, 2017-09-08

    日本静脈学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (5)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ