イオンとの特異的相互作用による合成二分子膜の特性制御

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  • Control of Characteristics of Synthetic Bilayer Membranes via Specific Interactions with Ions
  • イオン ト ノ トクイテキ ソウゴ サヨウ ニヨル ゴウセイ 2ブンシ マク

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抄録

ポリエーテルおよびポリアミン配位子をもつ合成二分子膜とイオンの相互作用を検討した。ゲル炉過実験の結果,ポリエーテル配位子をもつ二分子膜は,種々の芳香族スルホン酸ナト'リウムをほぼ100%保持した。蛍光スペクトル測定からポリエーテル鎖とナトリウムイオンの相互作用によると推定した。アゾベンゼン発色団とポリアミン配位子をもつ二分子膜は,長鎖ジアルキルジメチルアンモニウム塩二分子膜と混合することによって吸収極大波長が320nmから355nmに移動する。混合速度は,10-3mol/lの塩酸を添加すると約30倍加速された。10-2mol/lのKClの添加も加速することは,イオン強度も混合に影響をおよぼすことを示す。一方,KCl存在下で銅イオンを加えると4分の1の減速効果がみられた。膜とイオンの相互作用により膜混合の制御が可能となった。ビフェニル構造を含むボリアミン配位子型二分子膜の蛍光強度は,塩酸添加により増大し,銅イオンにより消光した。長鎖ジアルキルジメチルアンモニウム塩との混合二分子膜中での蛍光強度は硫酸ナトリウム添加によりいちじるしく変化した。蛍光強度の変化は,イオンとの相互作用による発色団間相互作用の変化や相分離の誘起によるものと推測された。以上の結果は,合成二分子膜とイオンの相耳作用により,膜混合や相変化の制御が可能であることを示す。

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