テトラリンを用いた三池炭の液化反応

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タイトル別名
  • Liquefaction of Miike Coal Using Tetralin

抄録

灰分含有量の多い三池炭-1および少ない三池炭-2の抽出液化反応をテトラリンを溶剤として用いて行ない,太平洋炭の結果との比較検討を行なった。なおそのさい,反応条件の効果をより明確にするため重回帰分析法を用いた。<BR>太平洋炭では,ベンゼン不溶分から算出した転化率BCに対する加圧の効果は,重回帰分析では-1.60P+0.0626P2 で表わされ,5.1MPa以内では負の効果が観測された。しかし,三池炭-1においては水素庄系で1.46Pと加庄の正の効果があり,三池炭-2では水素圧系で-5.22P+1.19P2と加圧の効果は小さかった。この差異は,石炭の構造の違いとともに,含有鉱物質による触媒効果の違いと考えられる。生成ナフタレン量から算出した水素移動量は,同転化率では水素圧系の場合の方が窒素圧系の場合より少なく,液化後の最終圧は水素圧系では圧力の低下が認められ,水素分子が反応に関与していることがわかった。<BR>得られた溶剤精製炭の構造パラメーターは,三池炭-1,2ともに太平洋炭とはかなり異なった。三池炭-1では,反応温度が高くなって転化率が大きくなっても,溶剤精製炭のσ,n,faの変化はほとんどなかったが,三池炭-2では転化率とともにσ が微増,n が減少し,faの変化はなかった。このことから,三池炭-1では転化率が増しても同じような構造の液化物が生成しているか,あるいは液化物の変化と同時に新しく抽出される液化物の構造が変化しているという機構が考えられ,三池炭-2では,反応温度が高くなって転化率が上昇するとともにσ が大きく,n が小さいものが液化されてくる機構が考えられた。

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