写真の分光増感における電子移動と逆反応の制御

  • 谷 忠昭
    富士写真フィルム株式会社足柄研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Electron Transfer and Inverse Pr o cesses in Spectral Sensitization in Photography
  • シャシン ノ ブンコウ ゾウカン ニ オケル デンシ イドウ ト ギャク ハン
  • Special Articles on Organic and Inorganic Optical Materials. Electron Transfer and Inverse Processes in Spectral Sensitization in Photography.

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抄録

銀塩写真の感光素子は,青い光に感光するハロゲソ化銀という無機め光機能材料と,分光増感という技術でこれを緑や赤い光にも感光させる増感色素と呼ばれる有機の光機能材料からなる。増感色素は光を吸収して電子をハロゲソ化銀の伝導帯に伝達することにより,色素の吸収波長でハロゲン化銀を感光させる。本報ではf分光増感における電子移動の機構を種々の角度から研究した成果を紹介し,その全体嫁を描写する。<BR>色素のハロゲン化銀への吸着は両者間のクーロンおよびvander'Waals相互作用に基づいていた。色素の電子エネルギー準位に関する最も信頼出来る知見は0位相弁珊第二高調波ボルタソメトリーによる還元電位と酸化電位で与えられた。励起色素からハロゲン化銀への電子移動のエネルギーギャップ依存性は急峻で,Marcus理論で再配列エネルギーが小さく,反転領域がないものに相当した。ピコ秒分光によりf電子移動過程と競合過程の速度定数を求め,電子移動の動力学的特徴を明らかにした。一方,電子移動の逆反応が活発であり,色素分子が電子を1個失った状態のESRの測定などにより,逆反応の機構の詳細を明らかにした。

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参考文献 (42)*注記

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