分子内芳香環スタッキング相互作用を有ずる三元系銅(II)-ジアミン-アミノ酸錯体の構造に関する研究

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タイトル別名
  • Study on the Structure of a Ternary Cu(II)-Diamine-Amino Acid Complex Involving Intr a m o lecular Aromatic Ring Stacking I n t e ractions

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芳香族アミノ酸と芳香族アミンを含む三元系金属錯体は分子内で芳香族同士の非共有結合性相互作用を示すことがすでに明らかにされている。その相互作用の様式をより詳細に知るために 1,10-フェナントロリン(phen)と L-トリプトファン(trp) を有する銅(II)錯体 [Cu(phen)(trp)]ClO4 の結晶構造をX線回折法により解析した。結晶データは斜方晶系, 空間群 P212121, a=28.316(28), b=11.063(5), c=8.139(12)Å, U=2554(4)Å3, Z=4 である。錯体の構造は Cu(II) に対して phen の二つの窒素原子と trp の酸素および窒素原子が平面方向から, 軸方向から隣接する錯体の trp のカルボキシル基が配位した五配位西角錐構造をとっており, そして反対側の軸方向からは trp のインドール環が phen と 3.51Å の間隔で分子内スタッキングをしている。そのスタッキング相互作用の結合様式の理解のために, [H+(phen)(trp)] の CNDO/2 MO 計算を行なった。求めた電荷密度の値は, この錯体が上下の芳香環の間で正と負の電荷をもった原子がたがいに重なり合った静電的相互作用が支配的であることを示唆した。

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