シトクロムcを活物質とするレドックス型薄層温度差電池

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タイトル別名
  • Thin-layer Temperature-differential Galvanic Cell of Redox Type Using Cytochrome c
  • シトクロム c オ カツブッシツ ト スル レドックスガタ ハクソウ オンドサ

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抄録

シトクロムcの酸化還元電位の温度依存性が大きいことから, それを可溶性のレドックス対とする温度差電池は高い性能が期待された。そこで電極間隔 1mm の薄層型温度差電池を組み立てその熱起電力および, 出力特性について試験した。低温側の電極温度を 7℃ に固定して測定したときの温度差電池の起電力は, シトクロムc の酸化還元電位の温度変化と同様に温度変化に対して折れ線状に変化した。変曲点 (温度30~40℃) の温度より低い温度領域では, 熱起電カ-O.4~-O.5mV・K-1, 高い温度領域では -0.7~-1.3mV・K-1 が得られた。酸化還元電位の温度変化より 0.2~0.8mV・K-1 高かった (絶対値では小さい)。シトクロムcを 11mmol・dm-3, NaCl を 1mol・dm-3 含む水溶液を電解液として用いた場合, 電極を垂直に配置して温度差を与えることにより電解液の自然対流を激しくして, 温度差 50K で出力 O.4mW・m-2 が得られた。これは, 電極を水平にして温度差を与えたときの対流がなく拡散が支配的な場合より4倍出力が増加している。このとき, 対流で熱流束はほとんど増加しなかった。シトクロムcのような大きな分子をレドックス対とする温度差電池でも対流を効果的に起こすことにより, 熱効率を悪化させずに出力を増加させることが重要であるとわかった。

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