ポリアクリロニトリル系炭素繊維の欠陥と引張強度に及ぼす前駆体繊維用工程油剤及び炭素化時の昇温速度の影響

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タイトル別名
  • Effects of Precursor Process Oil and Heating Rate During Carbonization on Defects and Tensile Properties of Resultant PAN-based Carbon Fibers
  • Studies on the Improvement of Productivity of High-Performance Polyacrylonitrile-based Carbon Fiber. VI. Effects of Precursor Process Oil and Heating Rate During Carbonization on Defects and Tensile Properties of Resultant PAN-based Carbon Fibers.

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説明

前駆物質ポリアクリロニトリル(PAN)系繊維を酸化し,ついで炭素化して高い引張強度のPAN系炭素繊維を製造することを目的に,前駆物質繊維の工程油剤および炭素化過程における昇温速度の炭素繊維の膠着,中空化等の欠陥発生および引張強度に及ぼす影響を検討した。ポリエチレングリコールのモノドデシルエーテル(L)およびポリジメチルシロキサン(S)を付着させた,アクリル酸メチルを2wt%共重合したPAN系繊維を,空気中,張力100mg/dで一段目240~255℃,二段目240~275℃ で酸化して得た酸化繊維を昇温速度5~50℃/sで炭素繊維とし,繊維のSEM観察,膠着,密度,繊維性能を測定した。前駆物質の工程油剤には膠着繊維の発生を防止し高い引張強度の炭素繊維を与えたSが好ましく,また,炭素化昇温速度を約15℃/sを超えて速くすると繊維中心部に凸レンズ状の中空を有する引張強度の低い炭素繊維が増加し,高い引張強度の炭素繊維を作製するためには炭素化昇温速度を約15℃/s以下が必要であることがわかった。また,炭素繊維を直接通電加熱して表面層の変化を走査型電子顕微鏡で観察し,その表面層には厚さ約500nmの表皮が存在し,この表皮が炭素繊維の強度と関係していることが推察された。

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