頭部外傷に伴う凝固・線溶系障害からみた病態, 予後, 治療について

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タイトル別名
  • Pathophysiology, Mortality, Treatment of Acute Phase of Haemostatic Disorders of Traumatic Brain Injury

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説明

 頭部外傷後の凝固・線溶系障害は, 脳損傷の重症度や重症化の指標であり予後因子であることは報告されている. 急性期の線溶亢進は一次脳損傷をした挫傷脳周囲の出血を惹起し血腫増大へ影響する. そのため急性期の病態解明が治療へ影響するものと考える. 本研究では頭部外傷直後からの時間単位・病日単位で凝固・線溶系分子マーカーの推移から脳損傷のメカニズムを解明することで, 新たな治療ストラテジーを構築できるものと考える. この急性期のメカニズムとして受傷直後から約3時間以内は凝固亢進もあるが線溶亢進が著しく, その後3∼6時間で線溶遮断となる. 6時間以降は線溶亢進が終息に向かっているが, 凝固亢進と線溶遮断は継続し, fibrinogenも上昇し始め血栓傾向に移行することが示された. 超急性期は出血による損傷で, その後は血栓傾向による虚血が関与している可能性がある. これらのダイナミックな変化を把握するためには凝固・線溶系のモニタリングが重要であり, これらを活用することで新たな治療ストラテジーを構築できるものと考える.

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