合併経錐体到達法の適応と手術の実際について(<特集>手術アプローチの選択とピットフォールII-第24回微小脳神経外科解剖セミナーより-)

  • 後藤 剛夫
    大阪市立大学大学院医学研究科脳神経外科学
  • 大畑 建治
    大阪市立大学大学院医学研究科脳神経外科学

書誌事項

タイトル別名
  • Detailed Surgical Procedures and Indication for the Combined Transpetrosal Approach(<SPECIAL ISSUE>Selection of Surgical Approach and Pitfall II)

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抄録

前経錐体到達法と後経錐体到達法を組み合わせた合併経錐体到達法は,錐体斜台部病変に対して広くかつ浅い術野での手術を可能にするため非常に有用な到達法である.これまでこの到達法についてさまざまな手技的注意点や微小解剖に知見が報告され,手術法そのものは確立されつつある.しかし現在でも髄液漏,S状静脈洞損傷,錐体骨切除時の顔面神経,聴神経障害などの合併症が報告されている.今回われわれはこうした合併症を軽減するため,髄液漏予防のための筋膜骨膜弁採取法,安全なS状静脈洞露出,安全な錐体骨削除法,神経,血管を温存した腫瘍剥離の工夫について実際の手術手順に沿って詳細に報告する.胸鎖乳突筋を茎とする筋膜骨膜弁による硬膜欠損部補填によって,髄液漏およびそれに伴う感染を予防できた.S状静脈洞は,横静脈洞との移行部から頚静脈孔側へと順行性に静脈壁を骨から剥離することで静脈壁を損傷することなく安全にかつ迅速に剥離が可能であった.半規管同定には,乳突洞の開放と内リンパ嚢の同定が有用であった.腫瘍切除時にテント切開に続いてメッケル腔を開放すると三叉神経の可動性が増し,腫瘍露出範囲が拡大された.一つ一つの小さな手技的改良の蓄積によって合併経錐体到達法の治療成績は大きく向上した.

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参考文献 (23)*注記

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