髄芽腫臨床を理解するための12項目(<特集>小児神経外科治療と長期予後)

DOI Web Site 参考文献65件 オープンアクセス
  • 杉山 一彦
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科
  • 山崎 文之
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科
  • 梶原 佳則
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科
  • 渡辺 陽祐
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科
  • 高安 武志
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科
  • 栗栖 薫
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科

書誌事項

タイトル別名
  • Twelve Clinically Significant Points in Medulloblastoma(<SPECIAL ISSUE>Pediatric Neurosurgery and Long-term Prognosis)

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説明

髄芽腫はよく知られた小児脳腫瘍であるが,人口10万あたり年間0.7人の発生頻度をもつ希少疾患であり,本邦では1年にわずか約80名の患者が新規に診断されているにすぎない.画像上,腫瘍は不均一に造影される.手術目的は主病変の可及的摘出とそれによる水頭症の除去であるが,術後約1/4に小脳性無言症が出現する.これは術後1〜2日で出現,約50日継続し,改善後も構語障害が残存する.病理分類はclassic medulloblastoma,desmoplastic/nodular medulloblastoma,medulloblastoma with extensive nodularity,large cell/anaplastic medulloblastomaの4型であり,いずれもWHO grade IVである.術後に年齢,残存腫瘍の多寡,播種の程度によりaverage-risk group,high-risk group,baby-medulloblastomaの3群に分類される.Average-risk groupは低線量の全脳・全脊髄照射を含む放射線治療後,CDDP,アルキル化剤,vincristineからなる化学療法が行われる.High-risk groupには残存病変に高線量照射を行う工夫と強化した化学療法が行われている.3歳未満の症例には化学療法を先行させ,照射を延期する治療戦略がとられる.近年,髄芽腫の生存率はさらに上昇しており,髄芽腫経験者の晩期障害に対する追跡・支援体制の確立が急務である.

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参考文献 (65)*注記

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