腹部内臓動脈解離—とくに孤立性上腸間膜動脈解離の治療戦略

書誌事項

タイトル別名
  • Management Strategy of Isolated Spontaneous Dissection of the Superior Mesenteric Artery

この論文をさがす

説明

要  旨:【目的】大動脈解離を伴わない孤立性の腹部内臓動脈解離(VAD)は極めてまれで,そのほとんどが上腸間膜動脈(SMA)に生じ,病態は不明のことが多く治療法は確立されていない.そこで教室で経験したVADについて後ろ向きに検討した.【対象と方法】2005年から経験したVADについて,その形態と治療法と成績について検討した.【対象と方法】年齢は41~78(平均56.7)歳,男女比は12:2.全例SMA解離で,1例は脾動脈にも解離を認めた.Sakamotoらに準じた分類では,type VIの例に,急性期に腸管虚血を疑いステント挿入,血栓摘除兼内膜切除術を各1例に施行した.またtype IIの1例で,発症3カ月後瘤拡大のため瘤切除を施行した.他の11例では,保存的に治療し症状は改善した.遠隔期にSMAの径の拡大はみられず,解離の距離は38.0±15.1 mmから20.7±15.7 mmと有意に縮小した(p<0.001).形態上,SMAの解離腔および血栓の縮小に伴い,type II,type IVが多くなっていた.最長6年10カ月の追跡期間で,全例生存しており合併症は認められていない.【結語】内臓動脈解離のほとんどはSMA解離例であり,多くは保存的に治療可能であるが,病態によって侵襲的な治療を選択すべきである.造影CTは診断に有用であり,発症後は定期のフォローアップが重要である.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ