タイ国バンコク大都市圏の都市化と近郊地域における農村景観の変遷
-
- 都日娜
- 鳥取大学大学院連合農学研究科
-
- 長澤 良太
- 鳥取大学農学部
-
- PATANAKANO Boonrak
- タイ王国土地開発局
書誌事項
- タイトル別名
-
- Urbanization and its Influences on the Suburban Landscape Changes in Bangkok Metropolitan Region, Thailand
この論文をさがす
説明
アジア地域の新興諸国では、都市化は急速な経済成長と産業の一極集中により、都市部への極端な人口集中が進む巨大都市化が顕著である。タイ王国の首都、バンコク大都市圏はその典型的な事例と言える。そこで、本研究では最新の高分解能衛星画像と既往のGIS データとを統合的に活用し、時系列的な土地利用/被覆図(1994 年、2000 年、2009 年)を作成することによって、都市の拡大プロセスと近郊地域における農業景観の変遷について検討を行った。解析の結果、都市的土地利用の割合は16.5 %(1994 年)、28.2 %(2000 年)、35.4 %(2009 年)と増加の一途を辿り、その増加率は1994~2000 年間で171 %、2000~2009 年間で126 %であった。一方、緑地空間の割合はそれぞれ71.4 %、56.1 %、43.3 %となり、1994~2000 年間で71.4 %、2000~2009 年間で56.1 %と大きく減少した。バンコク中心部は西暦2000 年までに完全に都市化されており、都市的土地利用はバンコク大都市圏を構成する周辺5 県へと拡大して、スプロール化を引き起こした。これにより、近郊地域の伝統的な農業景観は都市的土地利用景観へと急速に転換され、結果として都市と農村の土地利用が著しく混合した競合的土地利用景観が創出した。景観指標を用いた分析結果においても、その傾向は明瞭に表されており、農業的土地利用は密で小規模なパッチから構成され、景観の分断化が明瞭に示唆された。こうした都市の拡大は、現行の土地利用計画図ではバンコク特別市周縁部の農業地域あるいは農業保全地域に集中しており、適切な土地利用規制が及ばぬ範囲で農業景観の分断化、土地利用形状の複雑化が進でいるが明らかになった。これ以上の景観劣化を阻止するために、今後の都市計画立案の過程に景観分析の成果が活かされることを提案したい。
収録刊行物
-
- システム農学
-
システム農学 29 (2), 29-39, 2013
システム農学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282679391934848
-
- NII論文ID
- 130005075766
-
- NII書誌ID
- AN10164125
-
- ISSN
- 21890560
- 09137548
-
- NDL書誌ID
- 024446592
-
- 本文言語コード
- en
-
- 資料種別
- journal article
-
- データソース種別
-
- JaLC
- IRDB
- NDLサーチ
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可