高分子多価アルコール硫酸エステルの酸およびアルカリ加水分解反応

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  • Acid and Alkali Hydrolyses of Polyhydroxy Polymer Sulfates

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置換度(DS)のいろいろ異なる硫酸デンプン,硫酸セルロース,硫酸化ポリビニルアルコール(PVS)の水溶液中におけるアルカリケン化反応およびPVSの酸ケン化反応を高分子反応論の立場から速度論的に検討した。<BR>ケン化反応の速度は酸性,アルカリ性のいずれでも単純な速度式では表わし得ず,見かけの速度定数は反応にともなって減少する。たとえば,PVSの90。Cでの酸ケン化では次式が成立し,DSの大き<BR>k=1.5×10-‘+3.02×10-3×(DS)2.0 (1/mel.sec)<BR>いものほど速度定数は大きい。アルカリケン化でも時間とともに反応性は低下する。しかし,初速度定数はDSの小さいものほど大きく,酸ケン化の場合とまったく対照的である。その原因は,反応の進行とともに硫酸エステル基(S基)の分布状態が異なってくるためである。<BR>酸ケン化では,S基による触媒(Hつの吸引の結果,密度の高い部分から反応が起こる。よって,残存S基の分布はつねに均一であるが,吸引効果が減少するため反応性は低下する。<BR>アルカリケン化では,水酸基による触媒(OH)の吸引およびS基による反発のため,酸ケン化とは逆に,密度の低い部分から優先的に分解される。ゆえに,初速度定数はDSの小さいものほど大きいが,残存S基の分布は次第に不均一(集団的)となり,その反応性はやはり低下する。

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