イオン濃度測定によるW/O/W型多相エマルションの安定性の検討

  • 喜多 淑子
    大阪府立大学農学部農芸化学科食品化学研究室
  • 松本 幸雄
    大阪府立大学農学部農芸化学科食品化学研究室
  • 米沢 大造
    大阪府立大学農学部農芸化学科食品化学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • An Attempt at Measuring the Stability of W/O/W-type Multiple-Phase Emulsions by Analyzing the Concentration of Ions

抄録

油膜に包まれた水粒子が連続水相中に分散した系であるW/O/W型エマルションの安定性を,イオン濃度計を用いて検討する方法を提案した。分散水相にマーカーとしての塩化ナトリウムを含む系を調製し,それを一定量の蒸留水に対して透析し,油膜の破壊により連続水相に移行してくるNa+あるいはCr-の濃度を透析外液において,イオン濃度計で測定した。この測定値から,分散粒子の残存率Rを,<BR>R(%)=100-100x/v1,x(ml)=A(v0+vd)/(B-A)<BR>によって求めた。ここに,A%,B%は,それぞれ透析外液および分散水相中のイオン濃度であり,v1ml,v0ml,vdmlは,それぞれ分散水相,連続水楓透析外液の体積である。またxmlは,油膜破壊により連続水相と合一する分散水相の体積である。イオン濃度を時間的に追跡することにより,この式からRの時間変化を算出し,W/O/W型エマルションの安定性を定量的にすることができた。この方法を用いて検討した結果,分散相体積分率が大であること,分散水相にタンパクを添加すること,マーカーとしての塩化ナトリウムの濃度が高いこと,などが安定性を増大させる因子であることが明らかになった。

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