火山岩粉砕中に放出される微量の水の定量

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タイトル別名
  • The Determination of Micro Amounts of Water in Volcanic Rocks Released during Mechanical Grinding

抄録

試料粉砕中に放出される微量の水の定量が可能なパイレックス製特殊ボールミルを設計作製した。試料とステンレス製ボールの一組を球体部に入れ,セットしたのち,回転架台にのせ,2時間以上回転(120rpm)して試料を粉砕する。このボールミルの粉砕能は非常によく,粒径が1.0~0.84mmの試料10gが2時間で,99,2%が0.044mm(325メッシュ)以下に粉砕できた。また粉砕時に外気の湿度の影響はまったくなかった。均一粒径にした試料を入れてセットしたボールミルを,粉砕前にKari-Fischer滴定槽に接続し,乾燥窒素ガスを通してボールミル中の水分を完全に取り除いたのち,粉砕し,ふたたび接続して粉砕時に放出された水を,一定流速の乾燥窒素ガスをキャリヤーとして,滴定槽中のメチルアルコール・エチレングリコール(1:1)混合溶媒中に吸収させ,Kari-Fischer試薬を用いて定量した。その精度は±0.02mgH2Oであった。もっとも普通の新鮮な火山岩やガラス質岩石などから放出した水は0.0001%以下であり,粉砕中放出される水は無視できる。一方,いわゆる残留マグマ水を含む岩石や水和したガラス質岩石などは粉砕時に多量の水を放出し,本質的な水を正確に表わすには粉砕時に放出した水を定量しなければならない。新島産と神津島産の流紋岩は粉砕中や分析操作中に乾燥窒素ガス中に残っているごく微量の水さえも吸着した。

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