2-ピリドンおよび1-メチル-2-ピリドンの最低励起一重項状態における分子構造およびその関連化合物の励起状態の性質 -分子軌道法による考察-

書誌事項

タイトル別名
  • Molecular Orbital Considerations on the Molecular Structures of 2-Pyridone and 1-Methyl-2-pyridone in the Lowest Excited Singlet State and Their Electronic Properties in the Corresponding State

抄録

基底状態ならびに最低励起一重項状態における2-ピリドンおよび1-メチル-2-ピリドンの最適構造を知るために, これらの分子の各原子は分子面からずれていると仮定して, 構造最適化を含めた6-31+G (d) 基底関数を用いた非経験的分子軌道法による計算を行った. その結果, 次のような結論を得た. (1) 基底状態では用いた計算法の精度内でこれらの分子は平面構造が安定である. (2) 最低励起一重項状態においてはC=0基の炭素原子C3と, その反対側の炭素原子C7を結ぶ線を軸として, 環をねじったような構造が平面構造より安定である. 骨格原子の中ではN1原子の面外へのずれが最も大きい. (3) 2-ビリドンにおいては環の結合角C3-N1-C4を含む面と, 結合N1-C2のなす角度は30.4°である. (4)1-メチル-2-ピリドンにおいては環の結合角C3-N1-C4を含む面と, 結合NrC2のなす角度は22.6°である. (5) 最低励起一重項状態において, 2-ピリドンは平面構造と非平面構造のエネルギー差は4.30kJmol-1である. これに対し, 1-メチル-2-ピリドンの対応するエネルギー差は6.72kJmol-1である. (6) 2-ピリドンが最低励起一重項状態で二量体の形成ならびにカルボン酸と複合体を形成するときは, 非平面構造より平面構造をとる方が有利と考えられる. (7) 非平面性のために最低励起一重項状態は純粋なπ,π*性を失いn,π*性が混じった状態となるために, 隣接する一重項や三重項状態とのカップリングが容易になる. このために最低励起一重項状態の失活が促進され, 平面構造の場合と比ぺて, 蛍光量子収率が非常に小さくなると考えられる.

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被引用文献 (1)*注記

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