コバルト(III)錯体によるトルエンの酸化-配位子効果-

書誌事項

タイトル別名
  • Oxidation of Toluene by Cobalt(III)-Ligand Effects

説明

コバルト(III)カルボン酸塩は酸素非存在下,酢酸溶液中でトルエンを可逆的一電子移行過程を経由して酸化する。しかしCo(III)の配位子は酸化反応において非常に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。そこで本研究ではCo(III)の配位子効果を調べた。中性配位子はCo(III)の活性に影響を与えるだけであるが,陰イオン配位子は反応速度および生成物の二つに影響を与えることがわかった。ビピリジル,ピリジソ,アセトニトリルのような強く結合している中性配位子はCo(III)の減少速度を減少させた。イソ酪酸,ペラルゴン酸などの大きい陰イオン配位子は可逆的一電子移行による酸化を抑え,自己分解の傾向が大きかった。したがって,Co(III)による芳香族化合物の酸化における配位子効果は酸化還元因子よりも立体的因子の方でより大きくきいていることになる。律速過程は一電子移行過程においてトルエンとCo(III)イオンの問で内心型錯体を形成するところであると思われる。

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