ポリ塩化ビニルと炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウムの反応

書誌事項

タイトル別名
  • The Pyrolysis of Poly(vinyl chloride) Containing Sodium Carbonate or Sodium Hydrogencarbonate

説明

ポリ塩化ビニル(PVC)にNa2CO3, NaHCO3を添加して,その反応性,燃焼性について検討した。その結果,Na2CO3やNaHCO3はPVCから220Cで離脱する塩化水素とただちに反応する(NaHCO3単独は200CでNa2COsに変化する)。反応式は Na2CO3+2HCI-→2 NaCl+H20+COzで示され,反応性はNaHCO3がNa2CO3より大きい。すなわち,計算上完全に捕集されるNaHCO3の134部を添加すれば,PVCより離脱する塩化水素はほぼ完全に捕集されるが,同様にNa2CO3の85部の添加では捕集量は22%であった(PVCのC1%56.7%)。これはHedvallが示す発生期の反応性に起因するものと考えられる。すなわち,NaHCOsを分解して生成したNaxCO3は分解温度が高温ほど,また時間の経過とともに,結晶のヒズミ,および比表面積が減少し,反応性が低下することから確かめられる。燃焼性についてはとくに難燃効果は認められなかった。これは添加物と塩化水素の反応により,ハロゲン化物としての難燃効果の減少に起因するものと考えられる。しかし発火温度が高温側にずれ,難燃効果が認められるのは,生成したNaC1の物理的効果によるものと考えられる。熱分解生成ガスの分析は,低級炭化水素のエタン,エチレン,芳香族系の減少が認められ,二酸化炭素の増加が認められた。この二酸化炭素の増加は,PVCから離脱した塩化水素とNa2CO3, NaHCOsの反応のためと考えられる。

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