間接熱脱着+水蒸気分解法によるPCB汚染土壌・汚泥の無害化

  • 佐藤 岳史
    株式会社東芝 社会システム社 水・環境エンジニアリングセンター 水・環境プロセス技術部
  • 轟木 朋浩
    株式会社東芝 社会システム社 水・環境エンジニアリングセンター 水・環境プロセス技術部
  • 中島 卓夫
    株式会社鴻池組 土木技術部
  • 井澤 武史
    株式会社鴻池組 土木本部
  • 高柳 周二
    株式会社テルム 環境エンジニアリング事業部環境保全部
  • 野口 喜美夫
    株式会社ジオスチーム

書誌事項

タイトル別名
  • Remediation of PCB-contaminated Soil and Sediment by Indirect Thermal Desorption and Steam Destruction
  • カンセツ ネツ ダッチャク スイジョウキ ブンカイホウ ニ ヨル PCB オセン ドジョウ オデイ ノ ムガイカ

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抄録

近年,PCBに汚染された土壌や汚泥の処理について,安全・確実かつ低コストに無害化処理が可能な技術が求められてきており,多くの技術の開発が進められている。土壌や汚泥などのPCB汚染物を間接的に加熱することによりPCBを含む有機物を揮発させて取り除く技術である間接熱脱着法と,揮発させたPCBを含む有機物を水蒸気の存在下で分解する水蒸気分解法を組み合わせた間接熱脱着+水蒸気分解法について,ラボスケールで各プロセスの基本性能を検討した結果を示すとともに,実処理までのスケールアップの内容と,各スケールの装置における間接熱脱着・水蒸気分解を比較し,スケールアップの影響や各プロセスの性能を検証した。間接熱脱着においては,加熱温度を200℃~600℃,加熱時間を15分間~2時間の範囲で変化させて実験をおこなった結果,加熱温度を上げることにより熱脱着でのPCB除去性能が上昇し,200℃と400℃の間に大きな変化があった。この変化はPCBの沸点を上回る温度に加熱することでPCBの気化・脱着が促進されるためであると考えられる。また,水蒸気分解においては,反応温度を800℃~1100℃,水蒸気量をH2O/Cを指標として5~14の範囲で変化させて実験を行った結果,温度の違いにより分解性能に差が見られたのに対し,水蒸気量の違いでは大きな差異が見られなかった。熱脱着ガス中のPCB濃度が10 mg/Nm3程度の場合,温度1100℃,H2O/C=14,滞留時間3秒弱の条件で分解率は99.99%以上となっていた。また,ラボスケールからコマーシャルスケールまでの処理実験結果を比較した結果,スケールアップによる処理性能への影響は確認されず,間接熱脱着・水蒸気分解の性能はともに,入口のPCB濃度レベルによらず,出口のPCB濃度は同レベルとなっていた。これらの知見から,所定の運転条件を確保することにより,汚染物中のPCB濃度が変動した場合でも処理物および水蒸気分解ガス中のPCB濃度は同レベルに保たれることがわかった。

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 24 (2), 134-143, 2011

    社団法人 環境科学会

参考文献 (10)*注記

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