燃料選択—インド農村部における社会・経済的要因の分析—

DOI オープンアクセス
  • CHATTOPADHYAY Mriduchhanda
    早稲田大学経済学研究科
  • 有村 俊秀
    早稲田大学政治経済学術院 早稲田大学環境経済・経営研究所
  • 片山 東
    早稲田大学環境経済・経営研究所 早稲田大学商学学術院
  • 作道 真理
    早稲田大学環境経済・経営研究所 日本政策投資銀行設備投資研究所 日本経済研究所
  • 横尾 英史
    早稲田大学環境経済・経営研究所 国立環境研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Cooking Fuel Choices—Analysis of Socio-economic and Demographic Factors in Rural India—

抄録

<p>途上国の家庭内での調理に起因する室内大気汚染が問題視されている。調理時に発生する煙の健康への悪影響が報告されている。調理時に使用する燃料・エネルギー源を変えることでこの室内大気汚染を減らすことが可能であるが,途上国の多くの家庭が汚染を引き起こす伝統的な燃料の使用を続けている。家庭の燃料選択を対象とした実証研究が始まっているが,家計レベルのミクロ・データセットを用いた研究はまだ少ない。本研究はインド・西ベンガル州の68世帯を対象としたフィールド調査と収集したデータを用いた計量経済学的分析によって,インドの家計の燃料選択に影響を与える社会経済的要因を明らかにした。対象地域から無作為に抽出した家計の調理担当者を対象としてインタビュー調査を行い,薪・牛糞・石炭を「汚い燃料」,ケロシン・液化天然ガス・電力を「きれいな燃料」と定義し,データを生成した。家計の燃料選択をランダム効用モデルを用いてモデル化し,収集したデータを用いて,回帰分析を行った。ロジット・モデルを用いた最尤法による回帰分析の結果,調理が家の中で行われる家計ほど,また,燃料を無料で入手することができない家計ほど,「きれいな燃料」を選択することがわかった。加えて,「家計所得」,「回答者の年齢」,「教育水準の高さ」に関する指標と「きれいな燃料」の選択との間に正の相関が見られ,「家計の構成員数」,「最も近い市場への距離」に関する指標と「きれいな燃料」の選択との間に負の相関が見られた。これらの結果を活用し,家計の社会経済的状況に応じた室内大気汚染削減政策を立案することが求められる。</p>

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 30 (2), 131-140, 2017

    社団法人 環境科学会

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679401147136
  • NII論文ID
    130005519633
  • DOI
    10.11353/sesj.30.131
  • ISSN
    18845029
    09150048
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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