地下水流動は脱窒過程の制御要因か?―現状と今後の課題―

  • 齋藤 光代
    日本学術振興会特別研究員PD,愛媛大学沿岸環境科学研究センター
  • 小野寺 真一
    広島大学大学院総合科学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Is groundwater flow a controlling factor of denitrification process?: recent accomplishments and future directions
  • チカ ミズリュウドウ ワ ダッチツ カテイ ノ セイギョ ヨウイン カ? : ゲンジョウ ト コンゴ ノ カダイ
  • Is groundwater flow a controlling factor of denitrification process?
  • recent accomplishments and future directions
  • -現状と今後の課題-

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抄録

脱窒過程は,地下水の硝酸汚染の改善および抑制にとって重要な自然減衰機能の一つである。著者らは,地下水中での脱窒過程に及ぼす地下水流動の影響に関連する従来の研究結果を整理するとともに,今後の課題について議論することを試みた。結果は以下のように要約される。1)地下水流動系における顕著な脱窒場は,主に地形の変換点を含む浅部の地下水の流出域および不圧・被圧を含む深部帯水層に相当すると考えられ,2)地下水流動系において硝酸が脱窒によってどの程度除去されるかは滞留時間によってコントロールされている可能性が高く,さらに3)ダルシー流束などの地下水流速は,脱窒反応が流動系において生じるか否かを決定する要因となりうる。<BR> 以上の結果から,著者らが考える今後の研究課題は,空間的・時間的な地下水流動条件の変化を考慮した“脱窒過程の定量化とそのスケールアップ”である。定量化にあたっては,脱窒反応の有無を制御し得る臨界地下水流速を推定することが最も重要であろう。また,定量的評価のスケールアップのためには,地形勾配のような地表面情報と地下水中での脱窒との関係を明らかにすることが重要であると考えられる。

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参考文献 (84)*注記

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