工業用水のグローバル予測モデルにおける水利用効率改善率の決定方法の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Determination of Parameter Indicating Water-use Efficiency on Global Model for Industrial Water-use Forecasts
  • コウギョウ ヨウスイ ノ グローバル ヨソク モデル ニ オケル ミズリヨウ コウリツ カイゼンリツ ノ ケッテイ ホウホウ ノ ケントウ

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説明

グローバルな水需要予測においては,途上国での急激な都市化や経済発展による工業用水需要の延びに注目する必要がある。これまで工業用水使用量の将来予測については,複数のモデルが提案されてきたが,本研究では変数が少ないモデルとして,国内総生産(GDP)変化と水利用効率の改善率によって将来予測を行うモデルを対象とし,水利用効率改善率ηの決定方法について検証した。これまでこのパラメータは世界を10地域に区分し,区分毎にある一定値を適用して用いられていたが,その決定方法や,一定の値として良いのかについての議論は行われてこなかった。本研究では水利用効率改善率ηを検証するために,できるだけ多くの国において,工業用水使用量およびGDPの過去データ を収集し,そのデータから国毎にη値を算出し,それらη値と関連すると思われる因子,例えば水資源量や経済状態,主要工業種といった指標との関係を調べ,水利用効率改善率ηはどの様に決定されるのかを考察した。その結果,産油国であるか否か,一人当たりGDP,一人当たり水資源賦存量によって,η値の平均値および値のばらつきが決定されることがわかった。このことから各国における人口変化やGDP変化,および主要業種などによって,η値を変化させる必要があることが示唆された。さらに今回算定したη値を用い,数カ国において1980年データを予測開始年数とする2005年までの使用量推移予測を行った結果,従来モデルに比べて,工業用水の実使用量の推移傾向を適切に示すことができており,近い将来に対する予測精度の向上が確認された。しかし,長いスパンの将来予測のためには,各国の経済状態や主要業種の変更に伴うη値の変化予測をどの様に行うかが今後の課題と考えられた。

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 26 (3), 257-265, 2013

    社団法人 環境科学会

参考文献 (8)*注記

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