唾液腺腫瘍の病理診断標準化の試み

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抄録

唾液腺腫瘍の病理診断標準化のために, まず一般病理医が診断困難と感ずる腫瘍群の抽出と, 専門病理医間の診断不一致症例の問題点を探ることを目的として, 過去のコンサルテーション症例100例につき, 専門病理医4名による診断比較を行なった. その結果, 一般病理医が難しく感じる腫瘍として, 腺房細胞癌と粘表皮癌が代表的であることが明らかとなった. 一方, 4名の専門病理医全員の診断が一致したのは全体の42%に留まった. しかし, 議論を繰り返すうちに, 病理医間の診断一致率が上昇することも明らかとなった. また, 新規コンサルテーション症例に対して, 顕微鏡デジタル画像を用いた複数コンサルタントシステムの試用を開始した. これらの検討を踏まえて, 一般病理医が病理診断に際して参考となるように, ホームページ「唾液腺腫瘍の病理診断」(http://www001.upp.so-net.ne.jp/moririn/) を開設した. 腫瘍の診療は, 再現性の高い標準化された病理診断を土台として行なわれるべきであり, このような試みが全国の唾液腺腫瘍の病理診断標準化に寄与することが期待される.

収録刊行物

  • 口腔・咽頭科

    口腔・咽頭科 22 (1), 67-72, 2009

    日本口腔・咽頭科学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679402933888
  • NII論文ID
    130004553070
  • DOI
    10.14821/stomatopharyngology.22.67
  • ISSN
    18844316
    09175105
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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