救急部門で働く看護師の自殺企図患者に対する認知形成のプロセス

書誌事項

タイトル別名
  • The Process of Recognizing Patients with Suicide Attempt by Nurses Working in the Emergency Room
  • キュウキュウ ブモン デ ハタラク カンゴシ ノ ジサツ キト カンジャ ニ タイスル ニンチ ケイセイ ノ プロセス

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抄録

本研究は,救急部門で働く看護師の,自殺企図患者に対する認知形成のプロセスを明らかにすることを目的とした.対象者は,救急部門で勤務し,自殺企図患者の看護経験がある看護師12名とした.データは半構造化面接を用いて収集し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.救急部門の看護師は,自殺企図患者という刺激によって《生きたい人を助けたい》という信念が活性化され,《自殺企図患者は別世界の人》と認知した.その患者を自分が看護するとき,《患者に対する憤りや恐怖》を抱き,《心を込められない看護をする自分》で行動していた.このプロセスは,《自殺企図患者を批判することが許容される風土》によって支持されていた.しかし,患者やその近親者に《感情移入した出来事》を経験した看護師の認知は,《自殺企図患者も自分と同じ世界の人》と変化し,《冷静に自分を振り返った出来事》を経験できた看護師の認知は,《自殺企図患者も看護の対象》と変化していた.救急部門で働く看護師の自殺企図患者に対する認知形成のプロセスは,看護師が自身の価値観が危ぶまれるのを防ごうとしているプロセスであった.

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