エゾシカの然別地方における夏季の行動跡

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タイトル別名
  • Field signs of Sika Deer Cervus nippon in summer in Shikaribetsu district, Hokkaido
  • エゾシカ ノ シカリベツ チホウ ニ オケル カキ ノ コウドウ アト

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抄録

1.東ヌプカウシ北山麓において夏季(7月-10月)、シカの痕跡の調査を行なった。2.足跡に一定の方向性がみられた。すなわち、沢沿いに進行し、東ヌプカウシヌプリ山と白雲山間の稜線の狭い峠を越えてからは斜面に放射的に散らばっている。またその逆方向もあるとみられる。峠の狭間が通路のように見受けられた。3.餌は草本類、広葉樹の灌木・稚樹の葉が多く、単体、あるいは下枝はりの多いものは群状に摂食されている。7月から10月に、次第にその摂食量も増加している。ササ類・ノガリヤス類は広く分布するが、摂食されたのは休息場の周辺のみで、積極的に摂食したとみられない。5.餌は草本類の7種、広葉樹の稚樹・低木類の31種みられ、針葉樹は見られなかった。6.当地域が越冬地として不適当なのは、積雪による餌不足と寒をさけるための針葉樹林帯がすくないことが主因と考えられる。7.夏季に移動してくるのは、餌として有用の広葉樹の灌木が多く分布するのも一因とみられる。8.角とぎはトドマツの胸高直径10cmほどのものがおおく、同径のエゾマツはすくない。その理由はエゾマツではシカ高以下でも小枝の張り出しが多いため接近しにくいためと推察される。

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