中国華北平原における水循環・食糧生産・人間活動の関連性

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タイトル別名
  • The Relation among the Water Cycle, Grain Production and Human Activities in the North China Plain
  • チュウゴク カホク ヘイゲン ニ オケル ミズ ジュンカン ショクリョウ セイサン ニンゲン カツドウ ノ カンレンセイ

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抄録

中国華北平原の水問題は食糧生産との関わりにおいて多くの議論を惹起してきた.河北省経済年鑑からの統計情報によると,一見平らな平原内部の食糧生産量には空間的な不均質性が認められる.太行山地から渤海湾へ山前平原,低平原,海岸平野と続く地形配列が固有の地下水流動系を生じさせ,地下水資源の質および量に影響を与えていると考えるとうまく説明できる.平原東部の地下水流出域にあたる浅層地下水中の全溶存物質(TDS)濃度が高い地域では,平原西部と比較して食糧生産量は低く各年の気象条件の影響を強く受けていた.扇状地性の豊富な地下水を利用できる平原西部では,食糧生産量の年変動は相対的に小さく,降水日の少ない年に地下水利用によって生産量が高くなる傾向も認められた.食糧生産量の長期変化に関しては1990年代半ばまでは増加,その後停滞あるいは減少傾向が認められた.1997年以降は政策により食糧価格が低下したが,これが化学肥料使用量減少に現れているように生産コストの削減を引き起こし,食糧生産量が減少したと考えられる.現在進行中の地下水位低下が揚水コスト増加を通じて,今後食糧生産量に影響を及ぼす可能性が示唆された.

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