いわゆる「ぎっくり腰」は椎間板性とう痛か

  • 兵藤 弘訓
    仙台整形外科病院〔〒984-0038 仙台市若林区伊在字東通24〕
  • 佐藤 哲朗
    東北大学医学部整形外科学教室
  • 佐々木 祐肇
    仙台整形外科病院〔〒984-0038 仙台市若林区伊在字東通24〕

書誌事項

タイトル別名
  • Is acute locked back a form of discogenic pain?
  • いわゆる「ぎっくり腰」は椎間板性疼痛か
  • イワユル ギックリゴシ ワ ツイカンバンセイ トウツウ カ

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抄録

いわゆる「ぎっくり腰」の中で,MR像から推定した椎間板内への局所麻酔剤の注入によって除痛が得られたものを椎間板性と定義し,その特徴と発症機序を検討した.いわゆる「ぎっくり腰」で来院した23例中,椎間板性と診断されたのは16例(70%)であった.平均年齢は36歳と比較的若かった.日常の何気ない動作で発症した症例が10例(63%)と多かった.腰部中央を含む両側性腰痛が8例(50%)であり,傍脊柱筋に圧痛がない例が11例(69%)と多かった.単純X線像で椎間板の高度狭小化像を呈する例はなかった.椎間板造影像では後方線維輪までの放射状断裂が全例にみられたが,硬膜外腔への流出像は2例(13%)にしかみられなかった.T2強調MR像では椎間板の変性が全例にみられ,うちgradeⅢ(Gibson分類)が15例(94%)であった.造影MR像では椎間板後縁に明らかな造影領域が10例(63%)にみられた.椎間板性「ぎっくり腰」の多くは,放射状断裂を呈する中等度の変性椎間板において,椎間板後方線維輪の肉芽あるいは瘢痕組織に置換された無症候性断裂部位に,体動による再断裂が生じることで発症していると思われる.

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参考文献 (11)*注記

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