千島列島チルポイ島のフロラ研究

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タイトル別名
  • A Preliminary Study of the Flora of Chirpoi, Kuril Islands
  • preliminary study of the flora of Chirp

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千島列島チルポイ島のフロラはこれまで断片的にしか知られていなかった。1995年の国際千島列島調査に基づき植物リストを作成し, 隣接する大きなふたつの島, ウルップ島とシムシル島との比較をおこなった。同定した105種のチルポイ島自生種のうち, 100種はウルップとシムシルの両島に分布している。残り5種のうちの4種(カラフトイソツツジ, チシマルリソウ, ハマニガナ, エゾノコウボウムギ)はウルップに分布するがシムシルには分布せず, 1種(サナエタデ)はウルップ, シムシルのどちらにも分布せず南千鳥に分布する。植物相からみると, チルポイ島はウルッブ島により似ている。チルポイ島はカラフトイソツツジの分布東限に位置している。またチシマルリソウ, ハマニガナ, エゾノコウボウムギの3種は, 千島列島中では北と南の端にちかい島々に分布するが中央部の島々では欠落するといった特徴的な両側分布パターンを示す。サナエタデは北千島に分布しないがカムチャッカでは見つかっているので, 両側分布の一型と思われる。これら4種の南の分布中心の東端にあたるのがチルポイ島である。このような植物相の特徴はチルポイ島とウルップ島の間の海峡が100メートル以下と浅く距離も短い(27キロメートル)のに対し, チルポイ島とシムシル島との間の海峡は2000メートル以上の深さがあり65キロメートルとより離れている, といった地形的な特徴と一致している。オホーツク海側を南東から北東へ向かう海流も海浜植物(ハマニガナ, エゾノコウボウムギ)のチルポイ島への分布に寄与したと思われる。

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