琵琶湖・淀川水系におけるヨシとツルヨシ(イネ科ヨシ属)の分類

書誌事項

タイトル別名
  • Classification of Two Phragmites Species, P. australis and P. japonica, in the Lake Biwa-Yodo River System, Japan

この論文をさがす

説明

琵琶湖のヨシとツルヨシについては、花序の形態調査から中間型の存在が示唆されていた。今回、琵琶湖・淀川水系の19集団から採集した個体について、主成分分析を用いて、花序ならびに栄養器官の24形質の形態を解析した結果、中間型は存在せずヨシとツルヨシは明らかに異なる分類群であることが確認された。従来中間型と考えられていたものは、いくつかの形質において極端な変異を示す、いずれかの種の変異型であると考えられる。両者の主な識別点を整理すると次のようになる。ヨシ:小穂の長さ12mm以上,護頴の長さ9.5mm以上,小花の毛の長さ6.5mm以上,稈節に開出毛無し。ツルヨシ:小穂の長さ12mm以下,護頴の長さ9.5mm以下,小花の毛の長さ6.5mm以下,稈節に開出毛有り。開花時期は両種とも10日前後であるが、ヨシの開花がツルヨシに先行し、同所的に生育する集団でも開花期が完全にずれていたことから、時間的生殖隔離の存在も示唆された。染色体数は、ヨシが2n=96(8倍体),120(10倍体)、ツルヨシが2n=48(4倍体)で、ヨシの10倍体は、アジアでは初めての報告である。中間の染色体数が確認されたなかったことも、雑種が存在しないことを示唆している。

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (19)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ