シマハラン属(スズラン科)の分類学的検討 I

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  • Taxonomic Notes on Peliosanthes (Convallariaceae) I
  • Taxonomic notes on Peliosanthes(Convallariaceae)1

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抄録

Ophiopogon gracilipes Craibの副花冠(corona)は6深裂し,それに付着する葯も比較的大きいので,花はOphiopogon(ジャノヒゲ属)のそれに類似する。しかし,Ophiopogonの花彼は子房より上部において6裂するが,本種の花被は副花冠より上部において6裂する。この性質はPeliosanthes(シマハラン属)と一致する。また,Ophiopogonの雄ずいは子房に隣接して起立し,花被上からは起立しないが,O. gracilipesの雄ずいは,他のPeliosanthesのように,花被上に発達する副花冠に付着する。本種の葉の性質などもPeliosanthesと一致する。本種はPeliosanthesの他のどの種とも区別できる明瞭な特徴を持つので,同属の独立種として扱い,新組合'P. gracilipes'を提案した。タイにおける本種の1新産地も報じた。一方,故早田文蔵博士がラオスで採集した標本に基づき,Peliosanthes属の1新種P. subcoronataを記載した。本種は同属の他種に見られるような顕著な副花冠を持たず,葯には短い花糸が底着し,雄ずいは花被に付着するなどの点で同属の他種とは異なっている(Peliosanthesの他種では,花糸がほとんど退化し,葯はその背の一部において副花冠に付着する)が,葉の特徴などは同属のそれとよく一致する。また,本種において大変特徴的な点は,花被片基部に極めて小さな副花冠様の裂片が存在すること,そして半葯の頂部間で連合があることである。本種の花被の6裂はその副花冠様微小裂片のある付近までで,子房にまでは達していないことと,雄ずいは子房に隣接して起立せず,子房より少し上部の花被の筒状部から起立する点で,Ophiopogonとは異なっている。

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