セラム島・アンボン島(モルッカ諸島, 東部マレシア地域)の蘚類の分類学的研究III.

書誌事項

タイトル別名
  • Taxonomic Studies of Mosses of Seram and Ambon (Moluccas, East Malesia) Collected by Indonesian-Japanese Botanical Expedition III
  • セラム島・アンボン島(モルッカ諸島,東部マレシア地域)の蘚類の分類学的研究-3-〔英文〕
  • セラムトウ アンボントウ モルッカ ショトウ トウブ マレシア チイキ ノ セ

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抄録

東部マレシア地域に位置するインドネシア領セラム島・アンボン島に産する蘚類のうち,ヒノキゴケ科,シバゴケ科,ヒムロゴケ科,トラキローマ科およびカクレゴケ科について報告した。このうちトラキローマ科,カクレゴケ科は従来の分類体系ではヒムロゴケ科の一部として扱われることが多い。又,日本のヒノキゴケが属するヒノキゴケ属Phrrhobryumは従来Rhizogonium属に含められていたものである。狭い意味でのRhizogoniumは,はっきりとした二列葉序をもち,一見チョウチンゴケ属のような植物で,日本には産しない。我々の調査によって,両島にはヒノキゴケ科が4属6種,シバゴケ科2属4種,ヒムロゴケ科6属8種,トラキローマ科1属1種,カクレゴケ科1属8種あることがわかった。両島あわせて四国程度大きさしかないことを考えると,この数字は小さいものではない。特定の地域から大量の標本を調べることは,広い地域からまんべんなく調べることともに,種内の変異を研究するために欠くことのできない手続きである。本文中に述べたように,今回の調査でもRacopilum spectabile, R. cuspidigerum等,変異が大きいとして簡単にかたづけられることの多い種において,生育環境と結びついた「型」が認められることがわかった。今後東南アジア地域のフロラを研究するに際しては,広い視野をもつとともに,特定の地域における変異をしっかり認識していくことが重要になるはずである。

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