腸管病原菌のIII型分泌装置と細胞付着・侵入のメカニズム

書誌事項

タイトル別名
  • Mechanism of cell adhesion and invasion by Type III <br> secretion machinery in Enteropathogenic bacteria

抄録

腸管病原菌は、腸管免疫や腸内フローラなどの感染防御機構を突破して感染を成立させることができる。細菌感染の第一段階は細菌と宿主の物理的接触である。腸管病原菌は、この物理的接触を巧みに利用することによって、細胞に付着あるいは侵入し増殖する。近年、腸管病原菌が宿主との接触時に利用する道具の一つとして、III 型分泌装置の存在が明らかになった。III 型分泌装置は、多くのグラム陰性病原細菌が有するタンパク質分泌装置の一つである。腸管病原菌は、上皮細胞に接触した際、III 型分泌装置を介して病原因子を上皮細胞内に効率良く送り込むことによって、腸管の感染防御機構の影響を受けることなく病原性を発揮するに至る。III 型分泌装置は、1998 年にKubori らによって初めてサルモネラ属菌から精製され、その超微細構造が明らかにされた。その後、III 型分泌装置についての解析は急速に進み、それによって、病原細菌がどのようにして宿主細胞への感染を成立させるかという謎が次第に明らかとなってきた。このように、III 型分泌装置は、腸管病原菌が感染を成立させるために用いた巧妙な戦略の一つであると言える。

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参考文献 (40)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679447467520
  • NII論文ID
    130004543683
  • DOI
    10.4109/jslab.19.37
  • ISSN
    21865833
    1343327X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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