象徴体験における有と無の弁証法
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- 橋本 朋広
- 大阪府立大学人間社会学部
書誌事項
- タイトル別名
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- The Dialectic between “Being” and “Nothingness” in Symbolic Experience
- 那智の火祭りの現象学
- Phenomenology of the Nachi Fire Festival
説明
本論では, 那智の火祭における筆者の象徴体験を現象学的に解釈することによって, 象徴体験の構造を論じた。この祭では, 扇神輿は個体化(有)を象徴し, 神輿を燃やす火は無を象徴し, 火から立ち上がる扇神輿は動的な生成(有と無の弁証法)を象徴する。これらの象徴は, 祭を行う共同体の世界投企(Binswanger)によって構成される。筆者は, その世界投企を形式的に共有することで生成の世界を象徴的に体験した。しかし筆者は, 祭の観察者であったため, 共同体が投企した歴史的世界の一員ではなかった。心理療法では, セラピストはクライエントの世界投企を形式的に共有するだけでなく, 二人は共に歴史的世界を投企する。心理療法は, 共同体が歴史的世界を投企する祭りに似た機能を持つ。
収録刊行物
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- 箱庭療法学研究
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箱庭療法学研究 25 (1), 27-37, 2012
日本箱庭療法学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679447864960
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- NII論文ID
- 130005438315
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- ISSN
- 2186117X
- 09163662
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可