インシデント・アクシデントにより発生する医療費推計の試み

  • 小林 美亜
    国際医療福祉大学小田原保健医療学部
  • 池田 俊也
    (財)医療科学研究所 国際医療福祉大学薬学部
  • 武藤 正樹
    国際医療福祉大学附属三田病院 国際医療福祉大学大学院

書誌事項

タイトル別名
  • The Estimation of Medical Cost Incurred by Incidents and Adverse Events
  • インシデント アクシデント ニ ヨリ ハッセイ スル イリョウヒ スイケイ ノ ココロミ

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説明

本調査研究は,ヒヤリ・ハット事例(インシデント)及び医療事故(アクシデント)によって発生した医療費の推計を試みた。地域中核病院1施設を対象とし,1年間に提出された487件の出来事報告書の中から,追加的医療行為が発生した事例を抽出した。次に,出来事報告書から,インシデントもしくはアクシデントに関連した治療や検査などの医療内容の特定をさらに詳細に把握した。そして,特定した医療内容をもとに,レセプトから,薬剤,処置,検査,追加入院日数などの各費用を把握した。出来事報告書から追加的な医療行為が認められた112例のうち,インシデントは99例,アクシデントは13例であった。インシデント,アクシデントにより,患者1人あたり,それぞれ,平均約1万円,約12万円の追加医療費が発生していた。インシデントもしくはアクシデントが発生した患者で費やされた総医療費は,約195万円であった。アクシデントが発生した場合には,濃厚処置・治療が発生し,中には入院期間の延長を招いた症例もあり,インシデントよりも医療費が高かった。把握されたインシデント,アクシデントには,予防対策を未然に講じることで防ぎ得ることができると考えられる事例も少なからず含まれていた。医療費を抑制する観点からも,防ぎ得る事例を確実に予防していくことが重要である。

収録刊行物

  • 医療と社会

    医療と社会 16 (1), 85-96, 2006

    公益財団法人 医療科学研究所

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (10)*注記

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