イギリスにおける未承認薬製造業(specials manufacturing)

  • 辻 香織
    慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Specials Manufacturing in the UK
  • イギリス ニ オケル ミショウニンヤク セイゾウギョウ specials manufacturing

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説明

イギリスにおける未承認薬製造業(specials manufacturing)について調査した。規制当局のwebsiteで公開されているガイドライン等の情報を精査し,現地調査として製造業者4社へのインタビューを行った。また,日本の小児科領域における剤形変更調剤の実態について文献調査を行い,イギリスの状況との比較分析を行った。<br> イギリスでは,資格(Manufacture“Specials”License,MS)を有する製造業者が,承認製剤にはない剤形や含有量の製剤を製造して,未承認のまま供給を行うことができる。小児用量への対応として,主に散剤・液剤の供給が行われていた。無菌操作が可能な製造業者では注射剤や点眼剤の製造も行われていた。後発品メーカーや医薬品受託製造企業が“specials”製造を行っていることが多く,承認薬と同等の品質管理が実現していた。<br> 日本において頻繁に剤形変更調剤が行われている医薬品について調査したところ,日本とイギリスの承認製剤に大きな相違はなかった。日本で販売されていない低用量の製剤はイギリスでも承認されておらず,それに代わり“specials”での対応が行われていることが明らかとなった。<br> 日本には未承認薬使用に関するルールがないが,承認薬のみでは解決できないアンメットニーズに対する対応策は検討されるべきである。イギリスの“specials”製造業は一つの参考になると考えられた。

収録刊行物

  • 医療と社会

    医療と社会 19 (2), 193-207, 2009

    公益財団法人 医療科学研究所

参考文献 (2)*注記

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