好酸球性胃腸炎と消化管アレルギーとの関係について

書誌事項

タイトル別名
  • Eosinophilic gastrointestinal diseases and food protein-induced enterocolitis syndrome
  • ~非アレルギー性とアレルギー性との接点, 相違点などの現在の理解~
  • —Understanding from the allergic and non-allergic points of view—

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説明

新生児期および乳児期にみられる下血, 下痢, 嘔吐, 体重増加不良などの消化器症状に対し消化管アレルギーの関与が指摘されている. とくに, 下血を起こす機序として粘膜内に浸潤した好酸球性炎症の関与が示唆される. 「哺乳後の好酸球を介した下血」は, あたかも「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介した生体にとって不利益な症状」すなわちアレルギー反応と考えられやすい. しかし, 哺乳が唯一の栄養法である新生児に, 抗原特異性を証明することは難しい. 末梢血のALSTが陽性であっても, それらの細胞が本当にアレルギー反応を誘導しているのか, 粘膜局所のリンパ球が抗原特異的に反応しているのか, さらなる検討が必要と考える. 一方, 好酸球浸潤に関しては好酸球誘導因子であるIL-5やeotaxin-1などの産生亢進が認められているが, 果たしてこれらの変化も抗原特異的なアレルギー反応かどうか, 十分な検討が必要である. とくに新生児期など, 消化管粘膜局所にIgAが存在しない粘膜では, 粘膜内の好酸球が腸内細菌などから生体を守っている可能性も考慮すべきである.

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参考文献 (17)*注記

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