看護師の専門職化はどう評価できるのか

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タイトル別名
  • How Can We Evaluate the Professionalization of Nurses in Japan?
  • 大会長講演 看護師の専門職化はどう評価できるのか
  • タイカイチョウ コウエン カンゴシ ノ センモンショクカ ワ ドウ ヒョウカ デキル ノ カ

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抄録

本論文の目的は、日本の看護師の専門職化を巡る三つの問いについて論述することである。その問いとは、(a)看護師は専門職化を果たしたのか、(b)何が看護師の専門職化の評価を難しくしているのか、(c)看護師の専門職化に関する今後の研究にはどのような課題があるのか、である。本稿では、それぞれの問いについて、以下のような考察をした。(a)看護師の専門職化は進んではいるが、未だ、専門職の成立要件は部分的に満たされ、部分的に欠けているのが実態である。(b)看護師の専門職性を評価する場合、専門職の成立要件3つのうち、自律性の評価がとりわけ困難であり、その理由として4点があげられる。(b-i)看護師は患者のニーズに応じて看護ケアを展開するため、看護師の側の自律性は傍からは見えにくいこと、(b-ii)看護師はチーム医療における「調整役」を担うが、その調整役の自律性は傍からは見えにくいこと、(b-iii)看護師の従事する「療養上の世話」業務はケア労働とも言い換えられ、他のコメディカルが従事する「診療の補助」業務に比べ専門性が高いとは捉えられにくいこと、(b-iv)看護師が医療行為の実施に関して自律的に判断ができても、医師に「指示」を確認しなければならない構造的限界があり、看護師の自律性は傍からは見えにくいこと。(c)看護師の専門職化に関する今後の研究領域では、看護師が自身の仕事の内容と条件をどう統御しているのかということに関わる、より緻密な分析が必要とされる。

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